ブログをしばらくお休みしていました。これからまた、いろいろな話題をご紹介していきます。よろしくお願いします。
それにしても、これほど重苦しい気分で書き始めることになるとは、思ってもみませんでした。いうまでもありません。3月11日の東日本大震災が、私たちのまわりをすっかり変えてしまったのです。
しばらくは何も手につかず、おびえて暮らしていました。そんな時に私が手にしたのはディック・ブルーナさんの絵本「de appel(りんごちゃん)」です。
ブルーナさんはミッフィー(うさこちゃん)シリーズのほかに何冊も絵本をかいています。「りんごちゃん」もその一冊です。しかも、ブルーナさんが初めて発表した記念すべき絵本でもあります。
縦長の第1版は1953年に出版されました。ブルーナさんは26歳。正方形の今の絵本のスタイルの第一号としてかきなおして出版したのは、1959年でした。まさにブルーナさんの原点といえる絵本だと私は思っています。
その「りんごちゃん」はとても不思議なお話です。
最初のページで、りんごちゃんが泣いています。木から落ちて悲しんでいるのです。そこへ、教会の屋根の飾りのブリキのおんどりがやってきます。りんごちゃんを背中に乗せて空を飛び、街のあちこちを見せて回ります。
そして最後には、木から落ちたままのりんごちゃんに笑顔が戻る......。静けさのなかの深い悲しみ。苦悩のなかでの助け合い。悟りにも似た境地のなかでの救いを感じさせる結末。
私がブルーナさんを大好きになったのは、若いころ、この絵本との出あったのがきっかけでした。淡々と進むお話だけに、心を打たれました。そしていま「りんごちゃん」を読み返し、少しずつ心が落ち着いていくのを感じているのです。
