Oneday

 前回のゴーゴー・ブログで、ひろしま美術館(広島市中区)のプロムナードで開かれている「こどもミッフィーてん」を紹介しました。今日は、続きのお話です。

 美術館の中庭に面したプロムナードの回廊パネルでは「ゴーゴー・ミッフィー展」の会期中(8月28日まで)に、もうひとつのかわいい展覧会が開かれています。広島YMCAで毎週土曜日に開かれている「サタディパッケージスクール」で学ぶ17人の小学生が描いてくれた46点を紹介する子どもの手作り展覧会です。

 

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 そのうち、55本のろうそくを立てた大きなお誕生日ケーキの絵については、この前にお話しましたね。実は、そのケーキの絵の隣にもこんなすてきな絵が並んでいるのです。

 見て下さい。ミッフィー(うさこちゃん)が大きなかき氷の前で「うれしいな」とダンスをしていますよ。 

 

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 お相撲さんになったミッフィーもいます。

 

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 おやおや、こちらでは上手にお習字をしていますね。書き初めでしょうか。

 

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 そのほか、新幹線に持ったり、広島名物のお好み焼きをつくったり......。

 

shinkansen.JPG

 

 近くにはこんな説明文があります。

 

 ようこそミッフィー!!

 にほんにきてくれてありがとう!

 にほんのことをしょうかいするよ。

 1がつ1にちのおしょうがつからはじめるよ♪

 

 そうか、わかった。子どもたちが絵のなかで、四季豊かな日本の各地にミッフィーを案内しているのですね。

 広島YMCAのお話を聞くと、ありがとうの気持ちを込めて、子どもたちが日本に招待したこともわかりました。今回の招待旅行は、ミッフィーが東日本大震災で日本を励ましてくれたことへのお礼だそうです。 

 みなさん覚えていますか。震災が起きて間もなく、作者のディック・ブルーナさんは、悲しくつらい思いをしている日本の子どもたちに向け、涙のミッフィーのイラストとメッセージを送ってくれましたね。そのあたたかでさりげない励ましは、被災地の子どもたちはもちろん、広島の子どもたちの心にも響きました。 

 「お礼に、震災から立ち直って元気になった日本に、ミッフィーに来てもらおう」

 こうして描き上がったのが、このかわいい絵たちなのです。どうぞ、一枚一枚、ゆっくり見てください。どれも楽しそうなミッフィーばかり。思わず口元がほころんできますね。なにより、震災からの復興を託した子どもたちの気持ちも伝わってきます。 

 現実に目を向けると、まだまだ復興への道は険しく、あちこちで大人たちは欲のかたまりになったように、小競り合いを繰り広げています。

 そんなことはどうでもよいのです。被災地を必ず復興させないといけませんし、よりよい国になった日本にミッフィーを招待しなければなりません。絵を見て、強くそう思いました。子どもたちとミッフィーとの約束を、大人の都合でほごにするわけにはいかないのです。 

 いつか、きっと。僕は、子どもたちの絵に未来を信じています。だって、ここ広島は、あの原子爆弾の大惨事からよみがえった街なのですよ。

 各地を旅した「ゴーゴー・ミッフィー展」が16日、ひろしま美術館(広島市中区)にやって来ました。会期は8月28日までです。今回が最後の展覧会場となりますのでお見逃しなく。

 ひろしま美術館を上から見ると、城壁のようにぐるりと取り囲む白い建物群の真ん中に緑の屋根の円い本館があります。「ゴーゴー・ミッフィー展」は本館の奥にある長方形の展示室で開かれており、緑豊かな中庭を見ながらプロムナードを進んでいきます。

 

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 おやっ。途中の壁に55本のろうそくをたてた大きなお誕生日ケーキの絵が飾ってあるではありませんか。何だろう?

 近づくと、そこもかわいい展覧会場でした。プロムナードの回廊パネルで「こどもミッフィーてん」が開かれているのです。

 

cake.JPG 「こどもミッフィーてん」は、その名の通り子どもたちによる手作りのミッフィー展です。広島YMCAで毎週土曜日に開かれている「サタディパッケージスクール」で学ぶ17人の小学生が、2カ月半かけて絵を描いて準備してくれました。すてきなプレゼントにミッフィー(うさこちゃん)はきっと「ありがとう。とってもとっても、うれしいな」と大喜びしていることでしょう。

 広島YMCAのお話によると、ひろしま美術館で開かれる展覧会に合わせて、これまでも子どもたちが描いてきた絵を紹介する子ども展覧会を続けてきました。美術館で開かれる展覧会のテーマに沿って何をどう描くのかを考え、できあがった絵をプロムナードで展示してきました。

 ちなみに最初の子ども展のテーマは「りんご」でした。洋の東西を問わず描かれてきた「りんご」を主題にした作品を集め、2005年に開かれた「りんごの秘密」展にちなんだのだそうです。

 この話を聞いて僕は「えっ。始まりは、りんごだったのですか?」と問い返してしまいました。なんという偶然でしょう。みなさんもご存じのように、ミッフィー(うさこちゃん)の作者ディック・ブルーナさんが最初に発表した絵本が『りんごちゃん(第1版)』(1953年)でした。

 『りんごちゃん』から始まって、120冊以上の絵本をつくり続けるブルーナさんのように、子ども展も長く長く続いていくといいですね。

 そうそう。今回の「こどもミッフィーてん」にはお誕生日ケーキの絵を含め46点が展示されているのですが、ほかにもかわいい絵がいっぱい。それから、とびきりすてきなエピソードもね。

 続きは次回のブログで。

 6月21日はミッフィー(うさこちゃん)のお誕生日です。おめでとう。

 

 作者のディック・ブルーナさんの公式サイト(http://www.miffy.com)などを読みますと、最初の彼女の絵本がオランダで出版されたのが1955年6月21日ですから、今年で・・・。おっと、女の子のお年を数えるなんてやめましょう。

 

 この子は永遠の子ども。自分が小さなころなら同じ年ごろのお友達ですし、こちらが大人になってしまってからも懐かしい幼なじみです。絵本を開くたび、一人ひとりの特別の思い出の時間と場所に連れて行ってくれる。まるでタイムマシンのような絵本だと、僕は思うのです。

 

 さて、そこで今年の6月21日にはどの絵本を読もうかなと迷って、家族そろってお誕生日のパーティーを開く『うさこちゃんのたんじょうび』(福音館書店)にしました。

 

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 お誕生日にお気に入りの花柄のワンピースでおめかししてお友達と遊び、お父さん、お母さん、それからおじいちゃん、おばあちゃんと一緒にお祝いをします。お祝いの席には、おばあちゃんから手渡されたプレゼントのくまちゃんも一緒です。隣に座っているおじいちゃんのなんともうれしそうな顔。よく見ると、おじいちゃんのネクタイには黒地に小さな黄色い点がついています。プレゼントの黄色いくまちゃんを意識したネクタイなのでしょうか? なかなかおしゃれなおじいちゃんですね。

 

 いつか僕もおじいちゃんになれば、孫の誕生日にいそいそと出かけるのかもしれないな。今の僕がこの絵本を読んで思うのは、そんな将来のこと。孫の誕生日にはブルーナさんの絵本を読み聞かせてあげようかな。贈り物は何にしようか。たわいもないことを想像しては、つかの間の夢を見ているのです。

 

 ほらね、やっぱりブルーナさんの絵本はタイムマシンでしょう。読んでいると、未来にも連れて行ってくれるのですから。

 3月27日の朝日新聞に掲載されたディック・ブルーナさんのイラストとメッセージをご存じですか?

 震災で苦しむ日本の子どもに、オランダから送られたメッセージです。ミッフィー(うさこちゃん)が二粒の涙を流し、鉛筆で力を込めてブルーナさんがメッセージを書いてくれました。

 そのイラストとメッセージが、震災支援のチャリティーコンサートのポスターに使われました。日本センチュリー交響楽団が4月12日正午から大阪市の大阪ガスビルのテラスで開く「東日本大震災支援コンサート」です。演奏などについては日本センチュリー交響楽団(06・6868・3030)に、会場などについては御堂筋まちづくりネットワーク(06・6263・7541)にそれぞれお問い合わせ下さい。

  

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 担当の人にお尋ねすると「入場は無料です。会場に募金箱を置くので寄付をお願いします」というお返事でした。「集まった募金はどうするのですか」とさらに尋ねると「仙台フィルハーモニー管弦楽団に全額贈ります」。

 最初は「えっ」と思いました。音楽家仲間にだけ寄付するの?

 でも、それはとても浅はかな思い違いでした。仙台フィルは各地の避難所など被災地を巡り、ボランティアで復興コンサートを続けています。その費用に充ててもらおうというのです。

 仙台フィルのホームページ(http://www.sendaiphil.jp/)を読むと「私たちは、被災者に直接音楽を届けることにより、亡くなられた方々を鎮魂し、ご家族や生活を失くされたみなさんを癒し、そして希望の灯をともすことに全力を挙げていこうと決意いたしました」とあります。地元のNPOと協力して「音楽の力による復興センター」を設立したのだそうです。「音楽の力」ですよ。いい響きではないですか。

 ふと、「共鳴」という言葉が思い浮かびました。中学校の理科の時間に実験しませんでしたか。ふたつの音叉を離して並べて、片方だけを鳴らすと、しばらくしてもう一つも音を出し始める。あの現象です。

 音楽を愛するこころが大阪で奏でられ、遠く離れた仙台、そして被災地の皆さんのこころを響かせる。そう信じましょうよ。

 ブルーナさんも日本に共鳴して、すてきなイラストとメッセージを送ってくれたのですから。

 ブログをしばらくお休みしていました。これからまた、いろいろな話題をご紹介していきます。よろしくお願いします。

 

 それにしても、これほど重苦しい気分で書き始めることになるとは、思ってもみませんでした。いうまでもありません。3月11日の東日本大震災が、私たちのまわりをすっかり変えてしまったのです。

 

 しばらくは何も手につかず、おびえて暮らしていました。そんな時に私が手にしたのはディック・ブルーナさんの絵本「de appel(りんごちゃん)」です。

 

 ブルーナさんはミッフィー(うさこちゃん)シリーズのほかに何冊も絵本をかいています。「りんごちゃん」もその一冊です。しかも、ブルーナさんが初めて発表した記念すべき絵本でもあります。

 

 縦長の第1版は1953年に出版されました。ブルーナさんは26歳。正方形の今の絵本のスタイルの第一号としてかきなおして出版したのは、1959年でした。まさにブルーナさんの原点といえる絵本だと私は思っています。

 

 その「りんごちゃん」はとても不思議なお話です。

 最初のページで、りんごちゃんが泣いています。木から落ちて悲しんでいるのです。そこへ、教会の屋根の飾りのブリキのおんどりがやってきます。りんごちゃんを背中に乗せて空を飛び、街のあちこちを見せて回ります。

 

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 そして最後には、木から落ちたままのりんごちゃんに笑顔が戻る......。静けさのなかの深い悲しみ。苦悩のなかでの助け合い。悟りにも似た境地のなかでの救いを感じさせる結末。

 

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 私がブルーナさんを大好きになったのは、若いころ、この絵本との出あったのがきっかけでした。淡々と進むお話だけに、心を打たれました。そしていま「りんごちゃん」を読み返し、少しずつ心が落ち着いていくのを感じているのです。

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 明けましておめでとうございます。2011年。うさぎ年が幕を開けました。「Year of the Rabbit 2011」と、ミッフィー(うさこちゃん)も新年のごあいさつに来てくれました。

 でも、なんだかすっきりしない気分です。年末年始にかけて山陰地方を記録的な大雪が襲いました。元日の新聞を開くと、各紙の社説の書き出しはこんな調子です。

 

「めでたいとは言い難い年明けだ」(日本経済新聞)

 

「四海の波は高く、今にも嵐が襲来する恐れがあるというのに、ニッポン丸の舵取りは甚だ心もとない」(読売新聞)

 

「なんとも気の重い年明けである」(朝日新聞)

 

 これでは、勢いよくぴょんぴょんと駆け出そうにも、腰砕けになってしまいますよね。みんな、このままではダメだとわかっているのです。でも、どうすればよいのか。見上げれば、鉛色の空。静かに雪は降り積む、といったところでしょうか。

 

 こんな時こそ、人生の先輩でもあるディック・ブルーナさんの声に耳を傾けてみませんか。

 「これからも『もっともっとシンプルに』と自分を研ぎ澄まし、自分のスタイルを追い求めるでしょう。でもこれは、『昨日よりもっとよい結果を出したい』ということと同義です。けっしてぼくだけにかぎったことではなく、立場や目指すものは異なっても、多くの人がもっている気持ちのはずです。

 たとえばテニスやサッカーの選手もそうでしょうし、学生さんにも、会社勤めの方にもあると思います。昨日よりもっとがんばろうと思う熱い気持ちと努力を継続していくことができれば、だれもが平等に輝くことができると、ぼくは信じています」

 「今日よりももっといいものを。もっともっとシンプルに」

(『ディック・ブルーナ ぼくのこと、ミッフィーのこと』講談社から)

 

 そうです。シンプルに行きましょうよ。一人ひとり、ほんの少しでいいのです。自分のできる範囲で力を尽くして、みんなが輝ける世界にしませんか。「ゴーゴー・ミッフィー展」は、そんなブルーナさんのメッセージがこもった展覧会でもあるのです。

 

 ミッフィーといっしょに一年を素敵な年にしていきましょう。みなさんで力を合わせてね。

 「ペットのうさぎが足りない」と、先日のテレビニュースが報じていました。

 いきものを工業製品のように「足りない」というのはどうかと思いますが、それはともかく、理由は二つあるらしいのです。ひとつは来年の干支(えと)がうさぎなので、人気が高まっているとのこと。そしてなにより、最大の原因はこの夏の猛暑だというのです。

 ニュースによると、子うさぎがペットショップに並ぶのは生後2カ月ほどしてから。母親うさぎの妊娠期間が1カ月といいますから、どうしても3カ月は時間がかかる。それが、異常といえる夏の暑さで子どもを産まなかったし、産んでも数が少なかった。だから、年末のペットショップには例年より少なくなっている、とリポートしていました。

 私の手元にある『幸せなうさぎの育て方』(大泉書店)を開くと、「メスにとって出産は命がけの大仕事」とあり、繁殖させるのは「母子ともに体調をくずしやすい真冬や真夏は避ける」とも記されています。うさぎは繁殖力の強いいきものとされていますが、やはり工業製品とは違います。本能的に危険を察知して「命がけの大仕事」を控えていたのでしょう。それほど、この夏は暑かった。

 このブログを読み返しても、7月から9月にかけての暑さが思い出されます。とにかく、くたくたでした。そういえば、京都・清水寺で発表された2010年を表す漢字は「暑」でしたね。ここまで書いて新聞を開いたら、年末年始は大雪に注意とのこと。人間どものごうまんさを、大自然はたしなめているのかもしれませんね。

 さて、今年4月に東京で始まった「ゴーゴー・ミッフィー展」は、札幌、神戸、名古屋、横浜、福岡と巡回し、長野県の松本市美術館で年を越します。

 振り返れば酷暑のころはもちろん、いつどこの会場でも無事に展覧会を開催できたのは、支えて下さった関係者の皆さん、そして会場に足を運んで下さったお客さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 展覧会は来年の8月まで続きます。ようやく折り返し点といったところです。うさぎ年にふさわしいすてきな展覧会にしていきますので、みなさん応援してくださいね。

D.jpg 「2011年は YEAR OF THE RABITT(うさぎ年)だよ」

 ほら、ミッフィー(うさこちゃん)もエールを送ってくれています。

 それではみなさん、よいお年をお迎え下さい。そして、来年のうさぎ年が素晴らしい1年になりますように。

さあ、クリスマスです。みなさんはどう過ごしますか?

 ディック・ブルーナさんの絵本が好きな人なら、この季節に欠かせないのが『クリスマスってなあに』(講談社)でしょうね。本国のオランダでは『KERSTMIS』のタイトルで1963年に出版されています。「Kerstmis」はオランダ語で「クリスマス」のこと。ちなみに「クリスマスイブ」はオランダ語で「kerstavond」というそうです。オランダ語版と日本語版を比べると、大きさが違うのも興味深いですね。

chri.JPG さて、1963年というのはブルーナさんにとって節目の年です。『ちいさなうさこちゃん』『うさこちゃんとどうぶつえん』『ゆきのひのうさこちゃん』『うさこちゃんとうみ』(いずれも福音館書店)の4冊を、今と同じ正方形の絵本にしてオランダで出版したのがこの年でした。

 ブルーナさんが正方形の絵本をつくりはじめたのは1959年からです。15・5センチ四方の正方形の絵本は、当時としては大変珍しかったといいます。縦長の絵本は子どもには持ちにくくて、ページもめくりにくいことにブルーナさんは気づき、絵本のかたちと大きさを決めたのだそうです。

 『ちいさなうさこちゃん』と『うさこちゃんどうぶつえん』(日本語版は未刊)の2冊は、まず縦長の絵本で1955年に出版されました。長野県の松本市美術館に巡回している「ゴーゴー・ミッフィー展」にも出展されています。それはそれで、てがきのあたたかさが伝わってくる絵本ですよ。ぜひ、近くで見てください。

 縦長から正方形につくりかえ、構想をあたためていた2冊をさらに加え、4冊をまとめて世に問うたのが1963年でした。今日まで続くブルーナさんの絵本のスタイルを決定づけた年といえなくもないのですが、まさにその年に、大きくて横長の絵本を出版しているのです。いわゆるブルーナカラーの6色以外の水色も使っていますね。なぜでしょう?

 120冊を超えるブルーナさんの絵本のなかでも、横長の絵本はほとんどありません。これと1998年の『ケムエルとノアのはこぶね』(福音館書店)くらいでしょうか。横長の絵本がいずれも聖書物語というのも気になりませんか。

 ブルーナさんの絵本には、まだまだ謎がいっぱいなのです。

松本会場、2週目が無事に終了しました。先週末には、いち早くブルーナ絵本を見いだし、日本で「うさこちゃん」(ミッフィー)を出版した「生みの親」、福音館書店相談役の松居直さんが講演会を行ってくださいました。大変貴重なお話をいただきましたが、特にブルーナ絵本に関して、一部をご紹介します。

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「絵が語っていた。物語を語っている線だった」。松居さんはブルーナさんの線に出会って、驚いたそうです。子どもは絵を読み、言葉を絵にします。絵はすべて言葉。読む人の表情やページのめくり方、声の調子から、子どもたちは理解できる。生きた言葉から、われを忘れて、生き生きと思い描くことができる。ブルーナさんは、子供に語りかける線を描いていた、と振り返りました。

 

ブルーナ絵本を日本で紹介するにあたっては、日本語訳が勝負だった、と松居さんは言います。「うさこちゃん」の名付け親としても知られる、故・石井桃子先生の功績は、大変大きいものでした。ただ単語を訳すのではなく、オランダ大使館へ出向いて原書を朗読してもらい、耳から聞いた調べを大切にしました。原語を取り込んだ翻訳は、情景が目に見えるような日本語になりました。文章は、『万葉集』や『古今和歌集』の時代からの五七調、七五調が生きています。親しみのある、気持ちのこもった呼びかけ「うさこちゃん」には、日本語の調べがあり、オランダ語のナインチェ(nijntje)という響きが生きています。

 

ブルーナさんは、サインペンがない時代に、ブラシにこだわって、納得のいくものを選んでいたといいます。描くというより、点を置くようにゆっくり、ゆっくり描く。松居さんは、「まるで子どもに語りかけているようだ」と思ったそうです。ブルーナさんの線の魅力は、まさに入魂。こうした創作を支えていたのは、あまり表には出ないが、イレーネ夫人の支えは大きいのだとも。

 

作品の背景はオランダの風土に関係がある、と松居さんは分析します。オランダには山がなく、どこまでも地平線が続く、まっ平らな土地が特徴です。水平線と垂直の構図は、こうしたオランダの風土から生まれたもので、モンドリアンにしてもリートフェルトにしてもしかりです。オランダには、伝統的に美徳とされているスホーンヘイド(Schoonheid)という言葉があります。純粋さと美が結合した、オランダ人が大切にしている言葉。ブルーナさんは、それが子どもたちに伝わるよう描いているそうです。

 

 

松居直さん、どうもありがとうございました。

 

「ゴーゴー・ミッフィー展」が開かれている長野県の松本市美術館の前庭には、大きな大きな現代美術の作品があります。

前庭の「幻の華」.JPG

どうです。迫力あるでしょう。「前衛芸術家」を名乗る草間彌生(やよい)さんの作品で、タイトルは「幻の華」です。

 草間さんは1929年に松本で生まれました。草間さんのふるさとに市美術館が開館したのは2002年です。それを機に草間さんは、若い頃の絵など自分の作品を郷里の美術館にたくさん預けています。美術館も草間さんの作品を入れ替えながら展示する部屋を用意しているので、いつ訪ねても、草間さんの作品を30点前後は見ることができます。もちろん、草間さんのトレードマークといえる水玉模様がたくさんの作品もありますよ。

 面白いことに、美術館の中庭にあるジュースの自動販売機にも水玉がいっぱい。おまけに、JR松本駅から市内を循環し、美術館の前を通るバス(松本周遊バス「タウンスニーカー 東コース」)の車体にもたくさんの水玉模様が。草間さんが手がけた「走るアート」だそうです。その名も「クサマバス《水玉乱舞》号」。 

 

クサマバス.JPG

 朝10時すぎから夕方の6時ごろまで、30分間隔で運行しています。運賃は大人190円。小児が100円。この12月1日から走り始めたばかりで、出発式には草間さん本人も出席したそうです。ダイヤなどは松本電気鉄道のホームページ(http://www.alpico.co.jp/mrc)で。

 私も乗ってみました。車内には水玉はありませんが「草間作品にいつでも会える美術館 松本市美術館」というポスターが目に飛び込んできました。そして、この年末年始に限っていえば「ミッフィーにいまなら会える美術館」でもあるのです。

 こうなったら、この冬は《水玉乱舞》号で松本市美術館へゴーです。「ゴーゴー・ミッフィー展」をゆっくり楽しんだら、草間さんの展示室にもゴー。草間さんのほかにも、松本ゆかりの画家や書家を紹介する展示室があります。ミッフィー展の入場券の半券を見せれば、すべての展示室に入ることができますよ。

 

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